こんにちは。元不登校児の大吉neatです。
この記事では、私が中学生時代に不登校をしたのちに進学した「クラーク記念国際高等学校 週5日(総合進学)コース」について書いていきます。
私が卒業したのは2010年代の頭ごろで、もう10年以上前になります。ただ教育指針もポジショニングも当時から大きく変わっていませんので、今でも参考になる部分は多いと思います。最近新設されている各種の特化コースも、本質は同じものだと考えています。
先にお断りしておきますが、これはあくまで特定の時期・特定のキャンパスにおける個人の経験です。クラークは全国に多数のキャンパスがあり、雰囲気や運営はキャンパスごとにかなり違います。ここに書いたことがそのまま当てはまるとは限りませんので、必ず見学と資料請求でご確認ください。
また、記載は「週5日通学コース」についてのものです。「週1日通学コース」「月数日通学コース」の体験談は含まれません。
まず、私がこの学校をどう思っているか
人にクラーク高校を勧めるとき、私は必ず2つセットで伝えています。
- 不登校経験者の多くにとっては、ベストな選択肢の1つである
- ただし身体的・心理的・学力的に全日制高校へ進学できるのなら、そちらへ進学すべき
そしてもう1つ、大事な前提があります。私はクラーク高校が好きではありません。 むしろ嫌い寄りです。
出身者ですので多少の愛着はありますし、甲子園に出たクラークの活躍を横目で応援しますし、職場に後輩がいたら可愛がると思います。大人になった今、クラークに行って良かったとも思っています。それでも好きではありません。
もし中学3年から人生をやり直せるのなら、私は死ぬ気で勉強してでも普通の全日制高校を目指します。ただ、同じように定時制・通信制・高認&サポート校の中から選ぶのであれば、必ずまたクラークを選ぶと思います。
この、贔屓するつもりが一切ないOBの立場から書いていきます。
学校の基本情報
- 私立の広域通信制・単位制高等学校
- 運営は学校法人 創志学園
- 全国の主要都市にキャンパスを展開
- 校長は冒険家の三浦雄一郎氏
校長の件について、期待を持って入学される方がいるので正直に書きます。入学式や卒業式に、全国のキャンパスで使い回せそうなテンプレのビデオメッセージが届くだけです。 校長らしいことは特に何もしていません。
要は企業のCMタレントと同じで、名前を貸しているだけだと思います。私は在籍した3年間で一度も生で三浦雄一郎氏を見ていません(ひとつ上の先輩からは「修学旅行先の北海道のスキー場にいた」と聞きましたので、行事に参加することはあるようです)。
余談ですが、毎回のビデオメッセージでは「句読点の使い方がおかしい気がする」と心の中でつっこんでいました(笑)。
生徒層:ほぼ全員が不登校経験者、の「はず」です
ここがクラークという学校を理解するうえで、いちばん重要な点だと思います。
生徒のほぼ全員に不登校の経験があります。正確に言うと「あるらしい」です。中学時代の話をしない、もししても相手に質問をしてはいけないという暗黙のルールがありました。少なくとも私は、同級生と不登校をした理由を話したことがありませんし、聞いたこともありません。
「らしい」「のはず」と語尾を濁しているのは、私が本当に知らないからです。一部の仲の良い友達とは少し話すこともありますが、それでも「酷いいじめにあって……」といった具体的な話はしません。
私にとっては、これが決定的でした。中学3年の1年間をほぼ欠席していた私が、入学から1〜2か月で普通に通えるようになったのは、この「過去を知る人が誰もいない」環境のおかげです。生徒会にも入りましたし、軽音楽部でバンドもやりました。同級生の8割以上から「本当に中学校行ってなかったの?」と言われる程度には、普通の高校生をやれていたと思います。
全日制に進んでいたら、こうはならなかったはずです。「中学のとき何してたの」という会話が一度でも発生した時点で、詰んでいました。
ちなみに以前「うちの子はアニメやゲームが趣味で、高校で友達ができるか不安で……」というご相談を受けたことがあるのですが、その点はまったく心配いらないと思います。アニメ・漫画・ゲームへの許容度はかなり高いです。というか、みんな不登校期間中にやっていることは大体同じですので、むしろ話の合う友達が多いくらいだと思います。
不登校の生徒が通い続けられる、3つの仕組み
① いじめ対策が徹底しています
人間同士の相性がありますので、ちょっとしたいざこざは当然あります。ゼロなんてあり得ません。それでも、いわゆる「いじめ」はほぼゼロだったと思いますし、いざこざも一般的な高校よりかなり少なかったと思います。
理由は2つあると考えています。1つは、先生方が生徒間のトラブルに凄まじく配慮していること。もう1つは、私のように人間関係で不登校になった人がそもそも多いので、人の痛みが分かる生徒が大多数派だからです。
ゼロは無理だと分かったうえで「ゼロを目指す」という綺麗事を、大真面目に目指している。そんな学校だと感じています。
② 授業が、いちばん遅れている生徒に合わせて進みます
クラークに限らず、不登校児を受け入れている通信制高校の生徒は、学力の上位と下位の幅がとても広いです。小学校から不登校をしている人もいれば、私のように中学後半から不登校をした人もいますし、難関私立中学をドロップアウトしてきて高校1年の範囲はもう終わっている、という人もいます。
私の感覚では、学力の中央値は中学1年生ぐらいでした。
クラス分けは学力に応じて行われますが、それでも不登校をしたタイミングが違うので差は顕著に出ます。学力による選抜試験が一切ないわけですから、当然といえば当然ですよね。
ではどうするかというと、授業進行はクラス内でいちばん下のレベルに合わせることになります。さらに言えば、挫折する人が極力出ないように、いちばん遅れている人が余裕でついて来られるペースに設定していると思われます。それぐらい一般的な高校より進行が遅いです。
※補足:これは大学受験の勉強を通じて理解したことで、実際に自分が授業を受けているときは「遅い」なんて思ったこともありませんでした(笑)。
③ 校則が、思いのほか厳しいです
「通信制=自由」というイメージで検討されている方は、ここを知っておいたほうがいいと思います。
染髪・パーマ・アクセサリー・不良っぽい格好は、全生徒に禁止されます。ピアスを開けたり染髪したりすると「明日までになんとかしてこい、できないなら学校に来るな」と通達されるレベルです(もちろん地毛が茶色の方や天然パーマの方は除きます)。過去にいじめを受けていた人を刺激しないように、という意図があるようです。
ちなみに私が通っていた横浜キャンパスには、当時こんな謎ルールが2つありました。
- 職員室のあるフロアには、セーター・カーディガンのみの着用では入れない
- ベージュ色のカーディガンを着用してはいけない
なぜこのルールが存在するのか、当時も今もまったく納得できないのですが(笑)、「ダメなもんはダメなんだよ。それがこのキャンパスのルールだ!」と言われていました。時にはこういう理不尽にも従いながら、高校生活を送ることになります。
※補足:このカーディガンのルールは、横浜キャンパス独自のものだった可能性があります。
高校生活としての中身
部活動と行事は、ちゃんとあります
運動部から文化部まで一通りありますし、体育祭・文化祭・修学旅行もあります。文化祭は前夜祭・本祭・後夜祭に分けて実施されていました(これはキャンパスによるかもしれません)。
ただし、ほとんどのキャンパスは「いわゆる学校」の建物ではなく、ビルの一部または一棟に入っています。つまり校庭がないことが多く、部活も体育の授業も、近くの公営体育館やグラウンドを借りて行います。規模も小さめで、1学年は75人程度でした。
思い返すと、夏休みの宿題もありませんでした。他にも私が気づいていない差分はあると思います。
部活動には、特殊な事情があります
部活動が参加する大会は、ほとんどが定時制・通信制高校のみが出場する通称「定通制リーグ」です。ご存知の通り定時制・通信制高校は数が少なく、部活動に前向きな学校はさらに少ないので、出場校は片手で数えられるくらいだったりします。
つまり、数回勝つだけで全国大会に出場できます。
余談ですが、私が在学していた横浜キャンパスには当時「ゲートボール部」がありました。設立初年度にもかかわらず全国大会出場&海外遠征です。輝かしい功績に思えるかもしれませんが、ゲートボール部は日本に数校しかないので、初戦がいきなり全国大会だったような……(笑)
これを「価値がない」と見るか「得がたい成功体験」と見るかは、そのお子さんの状態によると思います。少なくとも、自信を失っている子にとっては大きい経験になり得ます。
勧めない理由:ここが最大の弱点です
ここからは、パンフレットに書かれない部分です。
① 基礎学力が身につく構造になっていません
先に書いたとおり、授業は最も遅れた生徒に合わせて進みます。この設計は「通い続けられること」には正しく機能しますが、学力を作ることには機能しません。
卒業要件(3年以上の在籍・74単位・特別活動30単位時間)は、真面目にレポートを出せば満たせます。しかし、それで大学受験に必要な学力がつくかというと、つきません。
大学進学を考えているなら、学校の授業とは別に学習の仕組みを用意することが前提です。私自身、高2の冬に大学受験を決めたとき、数学IAが一行も分からず、中学3年の教科書ガイドから始め直しました。塾と家庭教師を使って、学校の外で学力を作っています。これをやらなければ、難関大には行けていません。
② 進路サポートは手厚いのですが、進学後に苦しむ生徒がいます
クラークは進路指導に力を入れていて、進学率の数字は高く出ます。ただし、進学したあとに中退する生徒も一定数います。
理由は単純で、基礎学力が足りないまま推薦などで進学すると、進学先の授業についていけないからです。数字に出るのは「進学したかどうか」までで、その先は追跡されません。
進学実績を見るときは、必ず分母と内訳を確認してください。専門学校を含んでいないか、指定校推薦が大半を占めていないか。ここは資料請求で募集要項を取り寄せれば確認できます。
③ 学費が高いです
週5日の通学コースは、通信制の中でも高額な部類です。就学支援金を差し引いても、年間で数十万円から100万円近くかかることがあります。
これは母校というより業界構造への批判として書きますが、大人になった今だからこそ、この業界の学費の高さには驚きます。背に腹を代えられない窮鼠からお金を取るビジネスモデルですので、正直に言って業界自体を好きにはなれません。
「お子さんのために」という言葉と、年間100万円の見積もりが同時に出てくる場面は現実にあります。だからこそ、必ず複数校を比較してください。1校だけ見ていては、その金額が相場なのかどうかも判断できません。
なお、使える支援制度は思っているより多いので、諦める前に学費が払えるか不安なときの支援制度もご覧ください。
結論:どういうお子さんに向くか
| お子さんの状態 | クラークの適性 |
|---|---|
| 全日制に通える状態にある | 全日制を優先。ただし併願として確保する価値はある |
| 通う意思はあるが、過去の環境が原因で行けなかった | 非常に相性が良い。通学コースを検討 |
| 集団自体への抵抗が強い | 在宅中心のコースか、他校も含めて比較を |
| 自由な校風を求めている | 合いません。校則は厳しめです |
| 大学進学を強く志望している | 可能。ただし学校の外に学習の仕組みが必須 |
もう一度書きますが、この学校が好きかと聞かれれば、好きではありません。 それでも、あのとき他に行ける場所はありませんでしたし、あそこに行かなければ立ち直っていませんでした。同じ状況に戻ったら、やはり選ぶと思います。
学校の価値は「好きかどうか」ではなく「そのお子さんがそこで再び動き出せるかどうか」で測るべきだと思っています。
検討するなら、必ず複数校で比較を
クラークは通信制の中では大手で情報も多いのですが、大手であることと、お子さんに合うことは別です。
同じ地域に、より通学しやすい学校や、より安価な学校、より進学に強い学校がある可能性があります。3〜5校の資料を並べて、次の項目を横比較してみてください。
- 1年間の総額(授業料以外の施設費・教材費・行事費を含む)
- コースごとの登校日数と、その中身(授業か自習か)
- 進学実績の内訳
- 転入・編入の受け入れ時期