こんにちは。元不登校児の大吉neatです。
お子さんが中学で不登校になったとき、多くの保護者の方が最初にぶつかるのが「高校はどうするのか」という問題だと思います。
先に結論を書きます。選択肢は5つあり、そのうち「高校を卒業できる」のは3つだけです。ここを取り違えると、あとから取り返しがつきにくくなります。
まず全体像:5つの選択肢
| 選択肢 | 高卒資格 | 登校の頻度 | 費用の目安(年) | 主に向く状態 |
|---|---|---|---|---|
| 全日制高校 | 取れる | 週5日 | 公立 約12万円/私立 約46万円〜 | 生活リズムが保たれ、通学の負荷に耐えられる |
| 定時制高校 | 取れる | 週5日(1日3〜4時間) | 公立 数万円 | 少人数なら通える。時間帯を選びたい |
| 通信制高校 | 取れる | 年数回〜週5日(選べる) | 公立 数万円/私立 20〜100万円超 | 体調やリズムに波がある。過去をリセットしたい |
| サポート校 | 取れない | 週1〜5日 | 30〜80万円(通信制と別途) | 通信制のレポートを一人で進められない |
| 高卒認定(高認) | 取れない(受験資格のみ) | なし | 受験料 数千円+教材費 | 学校という枠組み自体が負荷。進学が前提 |
サポート校と高卒認定は、それ単体では高校卒業になりません。ここが最大の注意点だと思います。
サポート校は「学校」ではありません。学習塾やフリースクールに近い民間の施設で、通信制高校に在籍しながら並行して通う場所です。単体で入学しても高卒資格は得られません。詳しくは通信制高校とサポート校の違いで解説しています。
① 全日制高校:可能なら第一候補。ただし併願は必須です
身体的・心理的・学力的に通えるのであれば、全日制を目指す価値はあると思います。これは通信制の卒業生としての本音です。選択肢の幅、部活動の規模、進学指導の厚みは、やはり全日制のほうが上ですので。
現実的なハードル
- 内申点:公立高校の一般入試では調査書(内申)が評価に含まれます。不登校期間の内申は低くなりがちです
- 出席日数:欠席日数を選考で考慮する高校があります
- 入学後の欠席:全日制は欠席が単位認定に直結します。再び行けなくなると留年のリスクが生じます
使える制度
多くの自治体に、不登校生徒を対象にした特別選抜や、学力検査中心で調査書の比重を下げるチャレンジスクール/エンカレッジスクール(東京都の例)といった枠があります。名称も制度も自治体ごとに違いますので、お住まいの都道府県教育委員会のサイトで「不登校 特別選抜」と検索して確認してみてください。
全日制を目指す場合でも、通信制を併願として先に確保しておくことを強くおすすめします。「行けたはずなのに、また行けなかった」という経験は、本人を最も深く傷つけると思うからです。逃げ道があると分かっているだけで、挑戦のハードルは実際に下がります。
② 定時制高校:見落とされがちな有力候補です
定時制というと「夜間」のイメージが強いのですが、いまは午前部・午後部・夜間部から選べる三部制の学校が増えています。
強みは次のあたりです。
- 学費が圧倒的に安い。 公立なら年間数万円で済みます
- 少人数で、教員が生徒一人ひとりを把握しやすい
- 毎日通う形なので、生活リズムが立て直しやすい
- 通信制と併修して3年で卒業できる学校もあります
一方で注意点もあります。学校ごとの雰囲気の差が大きいので、必ず見学してください。また地域によって選択肢が限られ、通学時間が長くなることがあります。4年制の学校もありますが、三部制・単位制なら3年卒業が可能な場合が多いです。
費用面だけを見れば、定時制は通信制より有利です。にもかかわらず検討されないことが多いのは、単に情報が届いていないからだと思います。
③ 通信制高校:不登校からの進学先として最も現実的
いま高校生のおよそ10人に1人が通信制に在籍しています。2026年8月公表の学校基本調査(速報値)では、通信制高校の生徒数は約31万2千人で過去最多を更新しました。
仕組み
通信制高校の卒業要件は、全国共通で次の3つです。
- 3年以上の在籍
- 74単位以上の修得
- 特別活動30単位時間以上
単位は、レポート提出・スクーリング(面接指導)・テストで取ります。「毎日通う」ことは要件に含まれていません。
コースによって、まったく別の学校になります
ここが最も重要な点だと思います。同じ通信制高校でも、選ぶコースによって中身が別物になります。
| コース | 登校頻度 | 学費の傾向 | 向いている状態 |
|---|---|---|---|
| 週5日通学コース | 週5日 | 高い(年60〜100万円超も) | 通う意思がある。人間関係を作り直したい |
| 週1〜3日コース | 週1〜3日 | 中 | 少しずつ外に出たい |
| 在宅・年数回スクーリング | 年数回 | 低〜中 | 体調に波がある。外出自体が難しい |
私が選んだのは「週5日通学コース」でした。同級生のほぼ全員が不登校経験者で、中学時代の話をしないという暗黙のルールがある環境でしたので、入学から1〜2か月で普通に通えるようになりました。
不登校の子にとって効くのは「過去を知る人がいない場所」だと思っています。ただしこのコースは学費が跳ね上がります。
公立と私立で、費用が桁違いになります
- 公立通信制:年間数万円程度。ただし数が少なく、サポートは手厚くありません
- 私立通信制:就学支援金を差し引いても年間20〜100万円超。コースとサポートの厚みで大きく変わります
学費の詳しい内訳は通信制高校の学費は実際いくらかかるかに、使える支援制度は学費が払えるか不安なときの支援制度にまとめました。
④ サポート校:通信制の「伴走役」であって、学校ではありません
通信制高校のレポートを一人で進められない生徒のために、学習管理や居場所を提供する民間施設です。
- 単体では高卒資格が取れません。 通信制高校との二重在籍が前提になります
- そのため学費も二重にかかります(通信制の学費+サポート校の学費で年100万円を超えることがあります)
- 一方で、自己管理が難しい生徒にとっては、退学を防ぐ現実的な手段になります
通信制高校の中退は、実際に起きます。レポートが溜まり、取り返しがつかなくなって辞めるという流れです。それを止める役割を担うのがサポート校ですので、必要かどうかは「締め切りのあるものを一人で処理できるか」で判断していただくのが良いと思います。
⑤ 高卒認定(高認):進学が前提なら最短。そうでないなら慎重に
高等学校卒業程度認定試験に合格すると、大学・専門学校の受験資格が得られます。年2回実施、科目合格制で、一度合格した科目は持ち越せます。
向いているのは、学校という枠組み自体が本人にとって強い負荷になっているケース、進学の意思がはっきりしていて学習に集中したいケース、高校を中退していて学年を待たずに進みたいケースあたりです。
ただし、高認は「高卒」ではありません。大学に進学しなかった場合、最終学歴は中学卒業のままになります。就職や資格試験で「高卒以上」を条件とする場面は現実に多く、そこで詰まる可能性があります。進学が確実な前提でなければ、通信制高校で高卒資格を取るほうが、長期的に選択肢は広く残ると思います。
もう一点、同世代との接点がほぼゼロになります。学力は独学で取り返せますが、10代の3年間で人と関わる経験は取り返しにくい、というのが支援に関わって感じたことです。
2026年度から、学費の前提が変わりました
2026年4月施行の改正により、高等学校等就学支援金の所得制限が撤廃されました。世帯年収にかかわらず、公立は年11万8,800円、私立(全日制)は年45万7,200円を上限に支給されます。
通信制高校のような単位制の学校では、履修した単位数に応じて支給額が計算され、年間30単位・通算74単位が上限とされています。
支援金は自動では出ません。申請が必要で、遡っての支給もありません。入学時に学校から案内がありますので、必ず期限内に手続きしてください。実際の支給額は履修単位数と学校の授業料単価によって変わりますので、金額は志望校に直接確認するのが確実です。
選び方の順序:この順で絞ると迷いにくいと思います
- 本人の生活リズムを見る。 朝に家を出られるかどうかで、全日制・定時制か、通信制かが大きく分かれます
- 教室への抵抗の強さを見る。 少人数なら大丈夫なのか、集団自体が無理なのかで、定時制か在宅型かが分かれます
- 進学の意思を確認する。 大学進学を考えるなら、高校の授業だけでは足りない前提で計画が要ります
- 通える範囲の学校の資料を、まとめて取り寄せる。 ここで初めて具体的な比較ができます
順番を守ってください。最初から学校名で探し始めると、条件の合わない学校の説明会に何度も足を運ぶことになります。
迷ったときの判断基準は、「行けるかどうか」ではなく「通い続けられるかどうか」だと思います。入学できる学校ではなく、3年間続けられる学校を選んでください。
資料請求で必ず確認したい5項目
学校のWebサイトには載っていないのに、パンフレットや募集要項には書いてある情報があります。次の5つは必ず見てください。
- 1年間にかかる総額(授業料だけでなく、施設費・教材費・行事費・サポート校費用を含めた額)
- コースごとの登校日数と時間割(「週5日」の中身が自習なのか授業なのか)
- 卒業率と中退率(公表していない学校もありますが、聞けば答えてくれます)
- 進学実績の内訳(「大学進学◯%」の分母と、指定校推薦の割合)
- 転入・編入の受け入れ時期(途中で合わなかったときの選択肢)
3〜5校の資料を横に並べると、学費と登校日数の相場感が一気につかめます。1校だけ見ても、それが高いのか安いのか、手厚いのか薄いのかが分かりませんので。