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不登校のお子さんを持つ保護者のための進路情報サイト 運営・監修:大吉neat(元不登校/通信制高校卒/難関私立大学 理系)
進路・高校選び

「通信制高校はやめとけ」は本当か。卒業生が、勧める理由と勧めない理由を両方書きます

通信制高校を検索すると「やめとけ」という言葉が並びます。実際に広域通信制を卒業した運営者が、この評判のどこが当たっていて、どこが的外れなのかを整理しました。

本記事にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

こんにちは。元不登校児の大吉neatです。

「通信制高校」と検索すると、候補に「やめとけ」「後悔」「デメリット」が並びます。お子さんの進学先として検討している最中にこれを見ると、不安になりますよね。

私は広域通信制高校の卒業生ですので、最初に、いちばん誠実だと思う答えを書いておきます。

私が人に通信制高校を勧めるときは、必ず2つセットで伝えています。

不登校経験者の多くにとっては、ベストな選択肢の1つである。
ただし身体的・心理的・学力的に全日制高校へ進学できるのなら、そちらへ進学すべき。

そしてもう1つ、大事な前提があります。私は母校が好きではありません。むしろ嫌い寄りです。それでも、もし同じ状況からやり直すとしても、また同じ選択をすると思います。(正直、学費は高いんですけどね。)

以下、「やめとけ」と言われる理由を1つずつ検証していきます。

「やめとけ」の理由①:学力がつかない ── これは、その通りです

いちばん的を射た批判だと思います。

通信制高校の授業は、クラス内でいちばん遅れている生徒に合わせて進みます。 しかも「勉強についていけなくて挫折する人が極力出ないように、いちばん遅れている子が余裕でついて来られるペース」に設定されているはずです。それぐらい、一般的な高校より進行が遅いです。

※補足:これは私が大学受験の勉強をして初めて理解したことで、実際に自分が授業を受けているときは「遅い」なんて思ったこともありませんでした(笑)。

なぜそうなるかというと、生徒の学力の幅が異常に広いからです。小学校から不登校をしている人もいれば、私のように中学の途中から不登校をした人もいますし、難関私立中学をドロップアウトしてきて高校1年の範囲はもう終わっている、なんて人もいます。一般的な高校は入試で学力を揃えていますが、通信制はそれをしませんので、当然といえば当然ですよね。

つまり通信制高校のカリキュラムは「挫折させないこと」に最適化されていて、「学力をつけること」には最適化されていません。この設計自体は正しいと思います。ここで全日制と同じ速度で進めたら、大半が再び学校に来られなくなりますから。

ただ、その結果として、卒業要件の74単位を満たすことと、大学受験に必要な学力を身につけることは、まったく別のプロセスになります。レポートは教科書を見ながら書ける水準のものが多く、テストもレポートの内容から出ます。真面目にやれば卒業はできるのですが、それで受験学力がつくかというと、つきません。

ここを誤解したまま入学すると、高3の秋に「進学したいのに何も準備がない」という状態になります。大学進学を視野に入れるなら、高校の授業とは別に学習の仕組みを用意することが前提です。詳しくは通信制高校から大学進学はできるかに書きました。

「やめとけ」の理由②:自己管理できないと卒業できない ── これも、その通りです

在宅中心のコースを選んだ場合、レポートの提出は完全に自己管理になります。

誰も見ていません。締め切りが来ても、誰も家に来ません。そして一度溜まると、取り返すのが急激に難しくなります。レポートが溜まって単位を落とし、留年か退学に至るケースは実際にあります。

私自身、大学受験の2年目に自宅浪人をして、生活リズムが崩れて1年を丸ごと失いました。18歳で、大学に行きたいという明確な意思を持った状態でさえ、自宅では自分を管理できなかったわけです。

ですので意志の力で自分を管理できる人間なんて、ほとんどいないというのが私の実感です。本人の性格の問題ではなく、環境に強制力があるかどうかという構造の問題だと思っています。

対策は2つあります。

  • 通学コースを選ぶ(週2〜5日通えば、外側からリズムが与えられます)
  • サポート校を併用する(学費は二重になりますが、退学は防げます)

「やめとけ」の理由③:学費が高い ── 私立については、その通りです

公立の通信制なら年間数万円で済みます。ただし数が少なく、サポートも手厚くはありません。

私立の広域通信制は、就学支援金を差し引いても年間20〜100万円超になります。特に週5日の通学コースは高額です。

これは母校というより業界そのものへの批判として書きますが、大人になった今だからこそ、この業界の学費の高さには驚きます。背に腹を代えられない窮鼠からお金を取るビジネスモデルですので、正直に言って、業界自体を好きにはなれません。

「お子さんのために」という言葉と、年間100万円の見積もりが同時に出てくる場面は現実にあります。だからこそ、必ず複数校の資料を並べて比較してください。1校だけ見ていると、その金額が相場なのかどうかも判断できません。

学費の内訳と見落としやすい追加費用については通信制高校の学費は実際いくらかかるかに、使える支援制度は学費が払えるか不安なときの支援制度にまとめました。

「やめとけ」の理由④:就職・進学で不利になる ── 半分は的外れだと思います

「通信制卒だと就職できない」という話がありますが、これは正確ではないと思います。

学歴として記載されるのは「◯◯高等学校 卒業」であって、通信制であることが履歴書から一目で分かるわけではありません(校名で分かる場合はありますが)。実際の選考で問題になるのは、卒業の形態よりもその後に何をしたかのほうです。

私は通信制を卒業し、2浪して大学に進み、大手企業に就職しました。面接で浪人について突っ込まれたのは一度だけ、通信制について聞かれたことはありません。

ただし、高卒でそのまま就職する場合は事情が変わります。 高卒求人は学校経由の紹介が中心で、全日制高校が長年築いてきた企業とのつながりが強く効きます。この面では通信制は不利だと思います。

ここからは、実際には強みだと思っている点

批判ばかり書いてしまったので、通信制の良いところも書いておきます。ここは経験がないと書けない部分かもしれません。

いじめが、ほぼ起きません

人間同士の相性がありますので、ちょっとしたいざこざは当然あります。ゼロなんてあり得ません。ただ、いわゆる「いじめ」はほぼゼロだったと思いますし、いざこざも一般的な高校よりかなり少なかったと思います。

理由は2つあると思っていて、1つは先生方が生徒間のトラブルに凄まじく配慮していること。もう1つは、私のようにいじめや人間関係で不登校になった人がそもそも多いので、人の痛みが分かる生徒が大多数派だからです。

ゼロは無理だと分かったうえで、「ゼロを目指す」という綺麗事を大真面目に目指している。そんな学校だったと感じています。

過去をリセットできます

これが最大の価値だと思っています。

同級生のほぼ全員が不登校経験者で、しかも「中学時代の話はしない、もししても相手に質問をしてはいけない」という暗黙のルールがありました。少なくとも私は、同級生と不登校をした理由を話したことがありませんし、聞いたこともありません。

そして同じ中学出身の生徒はまずいません。過去の自分をまったく知らない人との関係構築になります。こう言ったらなんですが、これはかなり気楽です。もちろん初対面の人と仲良くなるのはエネルギーを使うのですが、それ以前の自分が知られていない環境というのは、それはそれで悪くないんですよね。

私の不登校は、カウンセリングでも本人の努力でもなく、この環境に移ったことで終わりました。入学から1〜2か月後には普通に通っていました。

「普通の高校生活」に、かなり近いことができます

部活動があります。体育祭も文化祭も修学旅行もあります。文化祭は前夜祭・本祭・後夜祭まで分けて実施されていました(これはキャンパスによるかもしれませんが)。

もちろん、世間一般の方が想像する高校生活と全く同じではありません。校舎は「ビル」ですし、グラウンドもないので、体育も部活も近くの公営体育館やグラウンドを借りて行います。思い返すと夏休みの宿題もありませんでした。

それでも毎日学校へ行き、気の合う友達ができて、たまにテストを受け、部活やアルバイトに打ち込み、人によっては恋人ができて──という、それなりに充実した青春を送れる可能性は十分にあります。

余談:部活で全国大会に行けてしまうことがあります

部活動が参加する大会は、ほとんどが定時制・通信制高校のみが出場する通称「定通制リーグ」です。ご存知の通り定時制・通信制高校は数が少なく、部活動に前向きな高校はさらに少ないので、出場校は片手で数えられるくらいだったりします。

私が在学していた横浜キャンパスには、当時「ゲートボール部」がありました。設立初年度にもかかわらず全国大会出場&海外遠征です。輝かしい功績に思えるかもしれませんが、ゲートボール部は日本に数校しかないので、初戦がいきなり全国大会だったような……(笑)

これを「価値がない」と見るか「得がたい成功体験」と見るかは、その子の状態によると思います。少なくとも、自信を失っている子にとっては大きい経験になり得ます。

校風は、思っているより厳しいです

「ん? 通信制なのに?」と思われるかもしれません。

これは頭髪や服装、アクセサリーについての校則の話です。簡潔に言うと、染髪・パーマ・アクセサリー・不良っぽい格好は全面禁止で、違反すると「明日までになんとかしてこい、できないなら学校に来るな」レベルの指導が入ります。過去にいじめを受けていた人を刺激しないように、という意図があるようです。

ちなみに私が通っていた横浜キャンパスには、当時こんな謎ルールがありました。

  1. 職員室のあるフロアには、セーター・カーディガンのみの着用では入れない
  2. ベージュ色のカーディガンを着用してはいけない

なぜこのルールが存在するのか、当時も今もまったく納得できないのですが(笑)、「ダメなもんはダメなんだよ、それがこのキャンパスのルールだ」と言われていました。こういう理不尽にも従いながら高校生活を送ることになります。

つまり「通信制=自由で緩い」というイメージで検討されている場合、実際とはかなり違う可能性があります。荒れた環境を心配されている保護者の方には、逆に安心材料かもしれません。

結論:「やめとけ」が当てはまるかは、目的で決まります

お子さんの状態・目的通信制の評価
全日制に通える状態にある全日制を優先。通信制は併願として確保
通いたい気持ちはあるが、過去の環境が原因で行けない最良の選択肢のひとつ。通学コースを検討
体調・リズムに大きな波がある有力。在宅中心+必要ならサポート校
大学進学を強く志望している可能。ただし学校の外に学習の仕組みが必須
高卒後すぐ就職を考えている定時制や全日制も含めて比較すべき

「やめとけ」という言葉の大半は、「学力がつかない」という一点を、進路全体の否定に拡大したものだと思っています。その一点は事実ですが、対処できる事実でもあります。

検討するなら、比較は3校以上で

同じ「通信制」でも、コース設計・学費・サポート体制は学校ごとに大きく違います。Webサイトには良いことしか書かれていませんので、判断材料になるのは資料請求で届く募集要項のほうです。

3〜5校を並べると、次のことが見えてきます。

  • 学費の相場(と、その学校が高いのか安いのか)
  • 「週5日通学」の中身(授業なのか自習なのか)
  • 進学実績の内訳(分母と、指定校推薦の割合)
  • 転入・編入の受け入れ時期(合わなかったときの逃げ道)
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ソノサキ進路ナビ 運営者・監修

大吉neat

元不登校(1年間)/クラーク記念国際高等学校 卒業/難関私立大学(理系)・不登校児支援に従事/サラリーマン・2児の父

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大吉neat

元不登校/通信制高校卒/難関私立大学(理系)

いじめを苦として中学3年で1年間の不登校。通信簿はオール1、出席日数は年10日以下でした。 広域通信制のクラーク記念国際高等学校(週5日通学)を経て、2浪ののち難関私立大学(理系)へ。 大学在学中は不登校児の支援に従事しています。

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